2007年(平成19年)7月1日 惣菜産業新聞 記事本文

床の衛生 整理整頓泡洗浄! 潟tーズデザイン代表取締役 加藤光夫 

HACCPでは床はドライ化としている。しかし、惣菜業の多くはまだウェットである。
食品製造業の衛生コンサルタントとして築地市場の移転に伴う「魚卸売市場の建設と衛生管理」の指導も行っている加藤光夫氏に惣菜業の床の衛生について寄稿していただいた。 

 床の衛生管理は泡洗浄(フォーム洗浄)を行なうことだ。泡洗浄というのは、洗剤を水で希釈した泡を吹きつけ、30分ほど放置して汚れや泡を浮き出させ、そのあと水を流してから水切りをして、乾燥させる方法だ。人が風呂に入って、石鹸の泡で洗うのと同じで、汚れや脂分が良く落ちる。
 泡洗浄をする為には、環境が整ってなければならない。段ボールに入った資材、包材や伝票など、塗れては困るものが、床から近い位置にあると出来ない。もっとも、厨房の作業台下にそのようなものがあるということは、それだけで衛生管理がしにくくなっていることになる。ゴミ、埃、異物が、厨房内にあるからだ。
 その為に、それらを整理する。そうすると、泡洗浄がやりやすくなる。言い方を変えると、泡洗浄をやろうと考え、その準備をやることそのものが、衛生管理を向上させることになる。厨房の作業空間をすっきりさせることだけで、異物が少なく、衛生管理がしやすい状況にすることが出来る。そうなったら、泡洗浄が出来るようになるわけだ。
 もうひとつ準備として、作業台、厨房機器、棚などの下の部分を、床から離す、高くすることだ。最低、床から15センチの隙間が空いていると、ブラシが入るので、清掃そのものがやりやすくなる。汚れ溜まりが無くなり、虫の発生源が無くなる。そして泡が床の隅々まで行き渡り、簡単にきれいにすることが出来る。
 この為に、作業台下の物置棚を位置を上げたり、ラックの最下段の位置を上げる、あるいは最下段を取り去って、そこにはキャスターを差し込むようにする。キャスターなら洗浄時に簡単に移動出来る。
床の部分だけでは無く、壁部分も見てみる。厨房機器が壁にぴたりとついていると、そこの隙間の洗浄が出来ない。そのわずかな隙間は、汚れと虫の発生源になってしまう。ここも出来れば15センチ以上離すと清掃洗浄しやすくなる。
 準備が出来たら泡洗浄を始めることが出来る。ここまでの準備段階だけで、厨房がかなりすっきりすることだろう。泡洗浄の道具はシンプルなものがよい。一般的に「フォームガン」が利用されている。洗剤のタンクの上に、希釈の為の簡単な装置が付いている。 水道の栓からのホースをこのガンの後ろに接続する。希釈濃度は、この内部にいれる小さなボールで調整出来る。例えば1/10、1/20といった設定用のボールを入れれば良い。
 フォームガンの引き手を引くと、洗剤と水が混合された泡が吹き出てくる。これを壁際から厨房の中央、あるいは床が徐水の為の斜面になっているところは、高いところから低いところに向けて泡を吹きかけていく。
 床に近いところに電源コンセントなどがあると困るが、そうでないところは、壁の腰位置ぐらいからかけると良い。基本的に壁の洗浄は、腰位置から下は「毎日」の頻度が望ましい。
 泡を吹きつけてから30分ほど放置しておくと、汚れや脂肪分が浮き出てくる。ある程度の大きさがある厨房なら、端から泡を吹きつけて行くと、最後まで行う頃には最初に泡をかけた部分は30分は経っているので、もう大丈夫だ。水道のホースをフォームガンから外して、今度は洗車や庭木の水まきに使うノズルを付け、水をかけて泡を洗い流して行く。これできれいになる。
 ブラシをかけなくても良いか、ということだが、泡洗浄を最初に始める時、それまでに溜まったこびりついた汚れは、ブラシでしっかりと落とす必要がある。しかし泡洗浄を毎日始めるようになると、一日分の汚れだけになるからブラシを使わなくてもきれいになる。ということは洗浄作業が簡単になり、効果も最高になるということだ。
 水をかけたあと、もし床が水切りが出来る斜面になっているのなら、そのまま放っておいても徐水される。そうでなく、水が溜まったままになっている場合は、水切りワイパーを使う。
水が床に溜まったままになっていると、湿度が落ちないので、カビ増殖の元になるのだ。
 洗浄終了後、翌朝までの間に、湿度が落ちない場合は、タイマーを使ってある程度の時間空調を回したり、除湿機を動かしたりする。それ程大きくない厨房なら家庭用の除湿器でもかなり威力がある。
泡洗浄は、床だけでなく、機器にも使える。また、汚れの状況に合わせた洗剤が色々あるので、厨房に合ったものを選定する。