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一般衛生管理を土台にした
HACCPシステムの威力と実際

 

 

■事故を未然に防ぎ、品質やイメージアップ
いま食品を供給するすべての企業に「食の安全」に対する高度な知識と取り組みが求められています。そのために最も有効なのが「HACCPシステム」の導入です。HACCPは、「Hazard Anaysis and Critical Control Point」の略です。食品の安全性を脅かす危害(Hazard)には、微生物による「生物学的」、自然界や人工的につくりだされた化学物質による「化学的」、異物混入による「物理的」という3つの要因があります。それらの危害が発生する恐れを、原材料から最終消費に至るまでの各段階で洗い出し(Hazard Analysis=危害分析)、重要管理点(Critical Control Point)を定めて制御し、危害の発生を抑えます。
HACCPシステムのベースになっているのは、施設や設備、機械器具から従業員の教育、製品の扱いや回収までを含む「一般衛生管理プログラム」です。中でも食品を直接取り扱う従業員の衛生管理と衛生知識の向上は、安全性を確保する上では最も重要です。HACCPは、衛生管理だけでなく、製造・加工現場における作業の合理化、ひいては商品の品質向上やイメージアップ、販路拡大、コストダウンにもつながる画期的な手法としても注目されています。
HACCPに関する10の誤解

1.

対応施設設備にかえなければならない、古い工場だからできない、という誤解
  HACCPは安全にするためのシステム、方法なので、基本的に施設設備は現状のままで構いません。例えば、ゾーニングや動線を直すには、隔壁を必ずつくる必要はなく、パーティションで区切ったり、ラインを引くといった「方法」でもできます。
 

2.

「取得」しなければHACCP実施を広報できない、という誤解
  自主的に行っていれば、承認や認証がなくても「うちの工場ではHACCPを実施している」とアピールできます。
 

3.

膨大な資料を作らなければならない、大工場でなければできない、という誤解
  自社の製品の安全を高め、品質も良くして、商品力を高めるために、自主的にHACCPを行うのならば、わざわざ膨大な資料を作る必要はありません。むしろ重要なところに絞り込んで行うほうが運営に集中できるので効果が上がります。
 

4.

製造効率が悪くなる=コストアップ、という誤解
  動線とゾーニングを検討する場合、動線は一方方向に製造が進み、交差したり戻らないようにして、ゾーニングは衛生レベルの違いで分けます。そうすると、実は製造工程で物があちこちに無駄に動かないようにすることにつながります。こうした措置を綿密に行うと、同じ人員、同じ設備機器で生産効率が上がり、コストダウンになります。
 

5.

専門家か資格者がいなければできない、という誤解
  日本ではほとんどの企業は基礎勉強から始めています。「スタッフがいない」「専門家を雇えない」と悩む必要はありません。
 

6.

加熱工程がないからできない、という誤解
  危害を食い止めるためのポイントとなるCCPの代表的なものは加熱殺菌ですが、加熱殺菌工程がない製品で、金属探知器も必要なければCCPがなくなってしまいます。しかし、確実なCCPがなくてもHACCPはできます。
 

7.

検査機器がないからできない、という誤解
  HACCPは簡易検査だけでも十分に構築運営ができます。簡易検査のためには、専門機関や公的機関に検査を依頼すればよいでしょう。
 

8.

監査体制構築が大変、という誤解
  監査は、内部監査と外部監査の両方を行います。工夫しだいで効率的、効果的に行うことができます。
 

9.

すべてを構築しないと動かないのでは?、という誤解
  土台となる一般的衛生管理の構築から行っていくと、少しでも進めるごとに、クレームの減少などの結果として、効果がしっかりと現れてきます。
 

10.

同じ製品を作る工場なら似たものになる、という誤解
  HACCPは、工場ごとに工夫をして構築するものなので、全部異なります。
 
 

※加藤光夫氏著「実例満載! HACCP 現場アイデア55!」より